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【コラム】「経営・管理」ビザ

2016年03月23日

 「投資・経営ビザ」から「経営・管理」ビザに変更になってから、以前より「経営する能力があるか、経営できる環境があるか」という視点での審査が行われています。

会社を経営するためには、日本の税制、法律等についてきちんと理解し、遵守する必要があり、入国管理局においても、これらを理解しているか、遵守する体制が整っているかについても審査の対象とされています。

たとえば、日本の法人は原則として社会保険に加入の義務がありますが、この義務を怠って変更申請や更新申請が不許可となるケースもあります。

さて、「経営・管理」を行っているかという視点から、たとえ会社設立時は申請人一人で始めた会社であっても、いつまでも一人で会社を経営していては、「経営・管理」としての活動に該当しないとみなされ、従業員の雇用が求められる傾向にあります。 そこで、正社員ではなくても、アルバイトやパートタイム、契約社員等、何らかの形で従業員を雇う必要が出てきますが、そんなときに、日本の税制や法律をきちんと理解していないと、知らずに違法行為を行ってしまっていることもありますので、ご注意ください。

たとえば、アルバイトを雇う場合、東京都の現在の最低賃金(時給)は907円です。これを下回る雇用契約を締結することはできません。最低賃金は都道府県ごとに異なり、だいたい毎年10月くらいに値上げされる傾向にあるので、雇用契約更新の際は気を付ける必要が出てきます。

これ以外にも、日本の法律は細かく変更が加えられることがあります。 顧問税理士や顧問社労士がいる場合は、そのような専門家に任せておくと安心ですが、そうでない場合は、自分でアンテナを張らなければなりません。

「経営・管理」ビザは、取得して終わりではないです。 取得後、数年以内に会社が倒産したり閉鎖せざるを得なくなるケースが非常に多いことから考えても、いかにきちんと「経営・管理」を継続していくかが問題です。

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【コラム】友達は大丈夫だった!

2016年03月16日

多くのビザのご相談をいただく中で、よく聞くのが、「友達(知り合い)は大丈夫だった。」「ネットでは、大丈夫だと書いてあった」という言葉です。

自分と似たような状況の人が大丈夫だったからと、安心感を得たいのは、よくわかります。… しかし、その人が大丈夫だったからと言って、自分も大丈夫なんて保証はどこにもありません。 なぜなら、自分の状況は、その人と100%同じではないからです。

仮に、状況が酷似していても、申請する時期が異なれば、入国管理局内での運用上の審査基準が変更されていることが原因で、不許可(または許可)になることもあります。

なので、●●が大丈夫だった!というのは、なんの意味もないのだと考え、過去の例や噂を信じすぎることなく、自分の今の状況が、今の入国管理局の審査基準に適合しているのか、を考えた方が、結局はビザ取得への近道です。

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【コラム】日本の医療費について

2016年02月24日

相変わらず、本国の両親を呼び寄せたい、という問合せを多くいただいています。 両親を「家族滞在ビザ」で呼び寄せることはできないため、本人の身分関係や就労によるビザでない限り、「医療滞在ビザ」や「特定活動(老親扶養)ビザ」が該当してきます。

「医療滞在ビザ」は、入院や通院のために来日することが目的であるため、原則として医療費は全額自分で負担することになります。 よって、特に通院や入院の予定がない場合は、「特定活動(老親扶養)ビザ」を希望されるのですが、「特定活動(老親扶養)ビザ」の場合は、国民健康保険等への加入が可能になるため、保険への加入を目的として「特定活動(老親扶養)ビザ」の取得を希望される外国人の方が多いのが現状です。

ここで、現在の日本の医療保険制度や国民医療費の現状について触れておきます。

2013年現在、日本の国民医療費総額は40兆円といわれています。 そのうち、後期高齢者(75歳以上)の医療費は13兆円となっています。 医療費40兆円の財源は、公費は約15兆5千億円(国庫:約10兆円、地方:約5兆円)となっており、この額は年々増額しています。 また、人口一人当たりの平均医療費は、65歳未満で約17.8万円なのに対し、65歳以上では72万5千円と約4倍に跳ね上がります。

ちなみに、日本人の2014年の平均寿命は、女性86.83歳、男性80.50歳とされています。 ただ、平均寿命というのは、2014年に生まれた赤ちゃんが●歳まで生きるだろう、という寿命なので、現在80歳のおばあちゃんの余命があと6年ちょっとというわけではありません。 平均余命で見ると、2014年時点で、80歳の方の平均余命は、女性11.71歳、男性8.79歳、つまり男女共に90歳前後までは生きていられる、ということになります。 しかし、健康寿命を見てみますと、女性は最後の13年、男性は最後の9年余りは何らかの病気を抱えることになるといわれており、90歳前後まで生きられるとしても、男女共に70代後半(後期高齢者)から医療費が増えていく可能性が高くなるのです。

医療保険に加入していると、医療費の窓口負担は、前期高齢者(65歳以上75歳未満)で2割、後期高齢者(75歳以上)で1割ですので、日本の医療保険制度が非常に魅力的なのはわかります。 しかし、超高齢化社会といわれ、日本の高齢者にかかる医療費負担が非常に深刻になっており、日本の財政が逼迫している現在、いたずらに高齢の外国人を招聘し、医療保険に加入させ、税金の支出を増やすことについて、日本国として否定的になっても当然です。

個々の事情をうかがうと、ご両親を呼び寄せたいという気持ちは痛いほどにわかりますが、日本の以上の状況を考えると、外国人の方の「特定活動(老親扶養)ビザ」の発給の基準は非常に厳しいものになっていることをご理解いただければと思います。

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【コラム】8年ビザが導入される?!

2016年02月23日

ここ数年の入管法(正式名称:出入国管理及び難民認定法)では大幅な改正が相次いでいます。 最近で言うと、2012年7月、それまでの外国人登録証明書に代わり在留カードの導入が始まり、最長在留期間が3年から5年になりました。また、みなし再入国許可制度が導入され、各自治体で行われていた外国人登録制度が廃止されました。

2015年には、「高度専門職」ビザが創設され、「投資・経営」ビザも「経営・管理」ビザへと変わりました。更に、「技術」と「人文知識・国際業務」ビザは「技術・人文知識・国際業務」ビザに一本化され、「留学」ビザの対象が小学生・中学生まで広げられました。

日本は、現在、少子化や高齢化の波を受け、外国人の受入に対して、急速に法改正や制度実施を進めています。 例えば、介護分野における「介護」の就労ビザ新設の話も進められていますし、日本全国の各特区を利用した独自の在留資格制度の導入も進められています。

そんな中、2015年9月11日に開催された内閣府の諮問会議で、日本で働く外国人の就労ビザの最長期間を、現在の5年から8年に延長する旨が提言されました。

諮問会議に提言されただけでは実行はされず、今後、国会での可決・成立を経なければいけませんが、少なくとも、日本としては外国人受入れ促進の方向へ進んでいるのは間違いなさそうです。

ただし、ここで提言されているのは、「企業内転勤」や「技術」の就労ビザで働く外国人についてのみです。 つまり、優秀な外国人についてはより優遇し、そうでない外国人については厳格化される、という二極化が今後更に進むものと考えられます。

日本国の利益を考えると、当然のことではありますが、優秀な外国人に来日してもらうためには、日本自身も経済力を強化し、魅力ある国づくりを行っていく必要があるといえますね。

今後も、外国人に関する法改正の動向を見守っていこうと思います。

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【コラム】福岡市の「スタートアップビザ」について

2016年02月10日

2015年12月9日、福岡市で日本初の試み、「スタートアップビザ」がスタートしました。
これはいったい何なのかというと、例えば「経営管理」活動を行いたいけれど、まだ「経営管理ビザ」の要件を満たしていない人でも、創業活動計画書等を提出することで、6ヶ月間の在留資格が認められる制度です。

国家戦略特区に指定されている福岡市で、特例的に認められた制度で、日本における外国人の創業促進のために設けられました。

具体的には、創業活動計画書等を福岡市に提出し、今後「経営管理ビザ」の要件を満たす見込みがあると認められ、福岡市からの確認を受けることで、その確認をもとに入国管理局で審査を受け、6ヶ月間の「経営管理ビザ」の在留資格が認められる、というものです。
実際の「経営管理ビザ」の要件は、この6ヶ月間で整えればOKで、事業を進めながら手続きを進めることができるというメリットがあります。

対象となる事業は、福岡市内で創業する必要があり、対象となる事業も、
知識創造型産業(半導体関連、ソフトウェア開発等)、
健康・医療・福祉関連産業(医療技術開発、再生医療等)、
環境・エネルギー関連産業(クリーンエネルギー開発等)、
物流関連業(国際宅配等)、
貿易関連業(市内産品の海外販路開拓等)
に限られています。

創業後は、福岡市からの創業活動の進捗状況の確認を受ける必要があり、実際に職員が訪問して進捗状況の話を聞くことになるようです。その結果、進捗状況が良好でない場合は、帰国を促すような指導を受けることもあります。

ちなみに、この福岡市からの確認には、申請から約2週間、入国管理局(福岡入国管理局)での審査に約2週間程度、といわれています。

創業活動計画書には、ある程度の裏づけのもと、具体的な内容を記述する必要があるため、場合によっては要件を揃えて、直接経営管理ビザの申請を行ったほうが、結果的に近道になることもありますし、この制度も始まったばかりなので、どの程度の効力や使い道があるのかもまだまだ明確ではありません。

しかし、新しい試みとしては、ちょっと面白いなと思いますね。

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